2018/10/17
許認可

キッチンカーを始めるための営業許可って?

キッチンカー(移動販売車)での開業を考えている方の中には、営業の許可や必要な資格を考えると面倒くさいと思ってしまう方も少なくないのではないでしょうか。飲食品を提供する場合、管轄する保健所に必ず届け出をして営業許可をもらう必要があります。

また、飲食業の開業には、各店舗に必ず一人「食品衛生責任者証」をもった、現場責任者を配置することが義務付けられています。

今回は「営業許可」と「食品衛生責任者証」の二つに焦点を当て、申請場所や取得の方法についてポイントをまとめます。また、安心安全な食品営業のための留意点と食中毒についても、後程少し触れます。

営業許可に関して

営業許可を取る事に関してポイント

1.営業許可の申請場所

2.営業許可の範囲

3.営業許可のポイント(給水タンクの量など)

4.取得する必要のある営業許可の種類

に分けられます。

以下に一つずつ見ていきましょう。

1.営業許可の申請場所

営業許可の条件は全国一律ではなく、各都道府県の保健所により許可条件は変わります。

そのため、自分が営業したい地域の保健所に営業許可の申請をする必要があります。

「仕込場所」が都内に(ある)―――――――――― 「仕込場所」の所在地を所管する保健所
    ↓(ない)
「事務所または自動車の保管場所」が都内に(ある) 「事務所または自動車の保管場所」
の所在地を所管する保健所
    ↓(ない)
「申請者の住所」が都内に(ある)―――――――― 「住所地」を所管する保健所
    ↓(ない)
主たる営業地を所管する保健所

2.営業許可の範囲

都道府県をまたいで営業する場合は、都道府県ごとに許可を得る必要があります。
例えば「仕込場所は千葉県」「営業地が東京都」となる場合は

千葉県の仕込場所を所管する保健所
東京都の営業地を所管する保健所
とふたつの営業許可が必要となることに注意してください。

3.営業許可のポイント(給水タンクの量など)

キッチンカー(移動販売車)の営業許可をもらう為の条件ポイントを、実際に営業許可を取る際にチェックされる点に関して簡単にまとめました。

・運転席と調理場は完全に仕切られているか
・給水タンクは設置され容量は充分であるか
・排水タンクは設置され容量は充分であるか
・シンクの数は充分であるか
・収納ケースや棚の設置は充分であるか
・石鹸は常時、清潔さを保てる状態であるか
・換気はしっかり考慮されているか

モノ的要件として、施設内(営業車)の耐水性、耐久性、区画、清潔、明るさ、換気などたくさんありますが、業種によってもっとも違うのが「給水タンク」の容量です。

(東京都の場合)

調


飲食店営業
(自動車)
食品及び食器類の取扱い 給水タンクの容量
多量の水を要する調理加工は行わない。
提供する食品は単一品目に限る。
食器類は一回限りの使用とする。
40リットル以上
多量の水を要する調理加工は行わない。
食器類は一回限りの使用とする。
80リットル以上
上記以外の場合 200リットル以上
喫茶店営業
(自動車)
菓子製造業
(自動車)


乳類販売業
(自動車)
18リットル以上
食肉販売業
(自動車)
食料品等販売業
(自動車)
魚介類販売業
(自動車)

4.取得する必要のある営業許可の種類

法律の定義として移動販売は
「2輪をのぞいた自動車に施設を搭載し、移動しながら食品の調理加工や販売の営業」
となっています。

(詳細は地域ごとの「自動車による食品営業に係る営業許可等の取扱要綱」で取り決められています。)
その区分けを詳しく見てみると調理営業と販売業で大別されています。

分類 業種 内容・備考


調理営業

(営業車内で調理し、その場で提供)
・生ものの提供はできない
・営業車内での調理加工は、小分け、盛りつけ、加熱処理などの簡単なものに限る
・軽自動車は、単一商品目しか扱わないこと

飲食店営業
(自動車)
カレー、オムライス、焼きそば、サンドイッチ、弁当など

アルコール販売OK

喫茶店営業
(自動車)
コーヒー、紅茶などの飲料、かき氷、アイスクリーム

アルコール販売NG

菓子製造業
(自動車)
パン、クレープ、ケーキなど
販売業

車内で調理加工はできない。
(別の厨房などで調理した商品を営業車で提供)

乳類販売業
(自動車)
包装された牛乳、乳飲料など
食肉販売業
(自動車)
包装された鳥獣の生肉など
食料品等販売業
(自動車)
袋詰めのパン、パック詰めのお弁当や総菜など
魚介類販売業
(自動車)
鮮魚介類。生食用魚介類は、あらかじめ包装されたものに限ること(ただし丸ものは除く。)

ここでもう1点重要なポイントがあります。
それは「営業車一台につき該当業種ごとに営業許可が必要」となる点です。

つまり「クレープを作って、コーヒーも提供したい」場合は、
クレープ調理(菓子製造業) + 喫茶店営業(コーヒー)
のふたつが必要となりますので、取り扱う商品と許可の種類を確認しておきましょう。

食品衛生責任者証に関して

食品衛生責任者証とは


保健所の営業許可証が「建物・設備」に対する許可であるのに対し、この食品衛生責任者証は、「人」に付与される許可です。

冒頭にも書きましたが、飲食業の開業には、各店舗に必ず一人「食品衛生責任者証」をもった、現場責任者を配置することが義務付けられています。

ただし、既に下記の資格を持っていらっしゃる場合、この許可証は免除されます。

・栄養士
・調理師
・製菓衛生師
・と畜場法に規定する衛生管理責任者
・と畜場法に規定する作業衛生責任者
・食鳥処理衛生管理者
・船舶料理士
・食品衛生管理者、もしくは食品衛生監視員となることができる資格を有する者

取得方法は?(費用と内容)

「食品衛生責任者」は各都道府県の食品衛生協会が開催する「食品衛生責任者養成講習会」に参加することで自動的に付与されます。

食品衛生責任者証を持っていない方は、保健所で営業許可証を取得する際に、必ず講習会に参加するよう案内されるはずです。

講習会の内容は下記のとおり↓。

公衆衛生学1時間
衛生法規2時間
食品衛生学3時間
合計6時間

講座は年に数回しか開催されていませんので、開催日が近づいたら、受講該当者全員に案内が送られてくる仕組みになっているようです。
都道府県単位で活動しているみたいで、詳細は少しづつ違うかもしれません。

講習会の開催場所についても、都道府県ごとに違います。保健所に問い合わせるか、都道府県の食品衛生協会に確認してください。
講習会に参加するには、下記のとおり参加費が必要です。

料金
食品衛生協会会員 7000円
非会員 10000円

 

適切な食品営業に関して

キッチンカーでの食品営業を行うための許可や資格は確認してきました。ここから先は、安心安全な食品営業を行う上での留意事項や代表的な食中毒に関して簡単に紹介いたします。

食品営業において注意すべき点

食品を扱う人の衛生管理

手洗いは、手首、肘など、作業内容によってしっかりと洗うことが大切です。爪ブラシ、ペーパータオル、消毒液、ゴミ箱の準備も必要です。同じシンクで食器などを洗うことはできません。

本人が病原菌を持つケースもあるので、検査をして安全かを確認することも大切です。学校給食を取り扱う人は年12回検査を行っており、それが一つの基準といえます。

食材の管理<

冷蔵庫の中での食品の置き方も衛生面では大切です。肉や魚などは菌を持っている可能性があるので、特に置き方には注意することが望まれます。

また、一度解凍した冷凍食品は、自分で商品管理のルールを定める必要があります。メーカーは一度解凍したものの保障はしてくれないものです。

作業場への危険なものの持ち込み禁止

予期せぬ事故を防ぐため、持ち込み禁止物を定めておくと良いと思います。百貨店などでは、鉛筆、ホチキス、クリップ、画鋲、歯の折れるカッターの持ち込み禁止をしています。
また、洗浄剤や殺菌剤など、本当に作業現場へ持ち込むべきかをよく検討して判断するものもあります。調理に間違えて使用してしまうケースもありますので、詰め替え容器には必ず名前を入れるなどの徹底が必要です。
衛生面に関しては、アルコールスプレーなどで手を殺菌します。きれいな服装とマスクや帽子を着用します。販売品目によってどのような食中毒が多いか、調べておくことも大切です。

キッチンカーオーナーも、食品を取り扱う以上お客様の命に関わる仕事であるという責任を持ちながら、知識を身につけ日々の仕事に取り入れましょう!

きちんとした衛生管理が、キッチンカー、そして業界全体の信頼につながります!

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